令和7年度理事長表彰 花島氏、松本氏が受賞
2025年10月27日(月)、理事長表彰賞の表彰式を行いました。本表彰は、総合科学研究機構に勤務する職員等の中で顕著な功績を挙げたものに対し、その功績をたたえ、感謝の意を表し、CROSSが担う業務の更なる推進を図ることを目的としています。
今年度の受賞者は花島隆泰氏、松本吉弘氏でした。受賞者には盾が贈られ、受賞講演が行われました。多くの方が出席され、授賞講演に関心を寄せていました。

研究開発部 花島 隆泰(研究員)
受賞テーマ:「偏極中性子測定技術の高度化と新規利用者の開拓」


受賞理由
BL17 写楽では、偏極中性子反射率(PNR)のユーザー数が減少傾向にあり、新規 PNR ユーザー開拓のための試料環境整備や PNR 測定技術の高度化が長年の課題となっていた。
花島研究員は、この課題に対し、PNR 測定用試料ホルダーの多連装化や、電圧/電流印可装置の導入、弱磁場試料環境の開発など、PNR 測定技術開発に関する先駆的な技術開発を精力的に進めた。これらの開発機器は BL17 の PNR 測定システムと連動しており、自動測定も可能になったことで、PNR 実験の利便性は飛躍的に向上し、ユーザーから好評を得ている。
これらの技術開発と並行して、花島研究員は積極的な新規 PNR ユーザー開拓にも尽力した。
2022 年度以前の PNR の課題数は年平均で 4.7 件であったのに対し、花島研究員の利用促進活動により、国内外から 10 グループの新たな PNR ユーザーを獲得した。その結果、現在の年間 PNR 課題数は平均で 8.0 件まで増加しており、この大部分は花島研究員が開拓したユーザーが占めている。
また、自らも PNR の先導研究を進め、Fe3Si/FeSi2超格子の磁場・温度変化を明らかにし、高い評価を得ている (“T. Hanashima et al., “Temperature-and magnetic field-induced magnetic structural changes in the Fe3Si/FeSi2superlattice”, Applied Physics Express 17 (3) 035002-1-5 (2024))。
以上のように、花島研究員は PNR 測定技術の高度化と利用促進に大きく貢献し、顕著な功績を上げたため、理事長表彰の受賞に値すると認められた。
研究開発部(兼務:産学連携推進室)松本 吉弘(研究員)
受賞テーマ:「中性子イメージングによる先導的な日本刀の構造研究および普及啓発」


受賞理由
日本刀の製造技術は長い歴史の中で発展してきたが、古刀に関する情報の多くは現代では失われている。そのため日本刀の進化の歴史や失われた技術を科学的に調査することは文化財研究において重要なテーマである。
松本研究員は中性子イメージング法を利用した研究チームの一員として、長年にわたり技術支援と先導研究に尽力した。
先導研究では、中性子トモグラフィー法による 3 次元構造解析および中性子ブラッグエッジイメージング法による結晶構造解析を駆使し、加州清光、南海太郎朝尊、細川正則という三振りの日本刀の構造的特徴を明らかにした。
この研究成果は学術誌に掲載され、高い評価を受けている (“Y. Matsumoto, K. Oikawa, K. Watanabe, H. Sato, J.D.Parker, T. Shinohara, Y. Kiyanagi, “Nondestructive analysis of internalcrystallographic structures of Japanese swords using neutron imaging”, Journal of Archaeological Science: Reports, 58 (2024) 104729.)。
さらに、松本研究員は「サイエンス×東海村×J-PARC 展(東海村歴史と未来の交流館)」、「刀剣乱舞で学ぶ日本刀と未来展(日本科学未来館)」、および 2025 年 J-PARC 施設公開など、複数の場で日本刀研究における中性子利用の成果を積極的に発表し、MLF ひいては中性子利用のアウトリーチ活動に多大な貢献を果たした。
以上のように、松本研究員は先導的な日本刀の構造研究および普及啓発において顕著な業績を上げており、理事長表彰の受賞に値すると認められた。