【開催報告】第31回CROSSroads Workshop「中性子散乱による食品科学研究最前線」
サイエンスコーディネータ 瀬戸秀紀
2025年9月8日から9月9日にかけて、第31回CROSSroads Workshop「中性子散乱による食品科学研究最前線」を、50名の参加者を得てAya’s Laboratory量子ビーム研究センターで開催しました。
1日目は中性子・X線小角散乱実験の結果を中心にした発表がありました。食品の凍結時の氷の結晶成長に着目した研究や、揚げ油の中の水分の存在状態を調べた研究、食品用乳化剤が作るナノ構造、牛乳に含まれるカゼインミセルの構造や、ゼリーの主成分であるカラギーナンゲルの強度と構造の関係、チーズや餅の階層構造など、様々な食品に関する研究の紹介がありました。また触感の制御に重要な食品の3次元構造を明らかにするために、屈折率を合わせることによってできる「透明化」の手法とAIを用いた食品分析手法の開発の紹介がありました。
2日目は特にデンプンに焦点を当てて、糊化や老化、米粉パンの製パン性、グルテンネットワークに対する食塩の影響など、小角散乱だけでなく、中性子準弾性散乱によるダイナミクス解析を含む様々な観点からの研究結果が紹介されました。
国内における中性子を用いた食品科学研究は、ここ10年ほどで大きく発展してきています。今回の研究会ではその到達点を確認するとともに、今後の展開の可能性について議論することができました。参加者の感想も概ね良好で、今後のユーザ開拓につながる研究会になりました。


