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中性子産業利用相談デスク・産業利用セミナー

2016-12-1 (木) - 2016-12-2 (金)

CROSS

中性子産業利用相談デスク・産業利用セミナー

原子・分子の構造や運動を精緻に測定できる中性子散乱は、これまで学術研究での利用が中心でしたが、新たな機能性材料開発に向けた産業利用にも大きな期待が集まっております。2016年12月1日(木)、2日(金)の両日、名古屋大学 豊田講堂において日本中性子科学会年会が開催されます。中性子の研究者が一堂に会するこの機会に、産業界の研究・開発者にもご参加いただき、中性子の産業利用を産業界と学術界双方から議論する場として、産業利用セミナーを開催いたします。

相談デスク、セミナーともに参加費は無料ですが、同時開催されます中性子科学会年会への参加には入会手続・参加登録が必要です。参加手続きについては、年会ホームページをご参照ください。

産業利用セミナー

開催日時

12月2日(金)

開催場所

名古屋大学 豊田講堂
http://www.jsns.net/jp/html/nenkai/2016/access.html

9:30-10:30 企業向け中性子基礎講座
中性子を用いた各種測定手法の基本原理から、実際の測定・解析での注意点、X線など他の測定との相補性など、実例を交えて解説いたします。

10:40-12:10 J-PARC産業利用ビームライン、小型中性子源活用法
J-PARC産業利用ビームラインや小型中性子源での活用事例・その成果を、利用までの手続きや手順などを含めて紹介いたします。
プログラムの詳細はこちらをご覧ください。

産業利用相談デスク

開催日時

12月1日(木)10:00から18:10まで、12月2日(金)9:30から15:00まで

開催場所

名古屋大学 豊田講堂
http://www.jsns.net/jp/html/nenkai/2016/access.html

中性子の利用に関心のある企業の方から、具体的な利用相談を個別にお受けします。事前予約制のため、次ページの参加申込書に相談内容とご希望の時間帯をご記入の上、総合科学研究機構中性子科学センターの宮﨑司までお送りください。
Fax:029-219-5311
E-mail:t_miyazaki[at]cross.or.jp([at]を@に置き換えてください)

産業利用セミナープログラム

企業向け中性子基礎講座

中性子を用いた各種測定手法の基本原理から、実際の測定・解析での注意点、X 線など他の測定との相補性など、実例を交えて解説します。

9:30-9:50

産業界によるMLF共用BLの活用
福嶋喜章(CROSS)

J-PARC/MLF 中性子ビームライン(BL)の内7本が 2012 年度以降、逐次共用 BL として運用されている。共用期間がまだ短いイメージング BL22、産業界からの実績が少ない高圧力BL11、単結晶 BL18、本来の目的である偏極中性子利用開始が遅れた反射率 BL17 以外の BLの利用例から見えてきた状況について報告する。

4次元空間中性子探査装置(BL01)は強相関電子系の学術利用に限定されると予測していた。この BL には、熱伝導や触媒反応の本質にかかわる格子フォノンあるいは分子振動解析に関する新たな提案があった。これらは BL 担当者にとっても新鮮で挑戦的課題であったが、有用で興味ある結果が得られ、活用が期待されている。ダイナミクス解析装置(BL02)も産業界からの利用は限定的ないかと危惧された。この BL は原子、分子のナノ秒オーダーの運動の測定が、ゴム組成物、電池、コンクリート等の研究・開発に有効に活用できることが認知され、継続的に利用され始めている。

中性子小角・広角散乱装置(BL15)は有機高分子材料、医療品、食品、化粧品、洗剤などで、利用者とBL担当者が相互に刺激し合いながら、継続的に利用されている。
今後、生物関連の利用の拡大が課題のひとつとして支援業務を検討している。それと同時に BL01 における例のような、産業界からの新たな提案の発掘と継続的進化も引き続き必要である。

9:50-10:10

中性子を用いた可視化技術とその産業利用
篠原武尚(J-PARC)

中性子は高い物質透過能力と軽元素に対する高い感度を持つため、X線などでは調べることが困難な比較的大型の観察対象内部の構造や水等の液体の分布状態を非破壊で観測し、可視化することが可能である。そのため、中性子を用いた可視化技術は、学術界のみならず産業界を含む幅広い分野において利用されている。特に、中性子は鉄や重金属に対しても十分な透過能力を有することから、機械部品の欠陥の探査や稼働状態における機器内部の挙動の観察が可能である。すなわち、実製品を対象とした観察を行うことができることは本手法の 大きなメリットである。

本講演では、この中性子を用いた可視化技術の基礎に関して解説するとともに、他の手法 との比較やいくつかの代表的な測定例を紹介する。また、J-PARC MLF のパルス中性子を活 用した新しい可視化手法の開発についても紹介し、現在注目されている結晶組織情報の空間 分布を得るブラッグエッジ法や、空間中および磁性体中の磁場分布を調べる偏極中性子法に ついて具体的な測定例を用いて説明する。さらに、J-PARC ML における本手法の産業利用の 現状について報告する。

10:10-10:30

中性子反射率による表界面・薄膜の評価技術と産業応用
宮﨑 司(CROSS)

近年、表面・界面・薄膜の機能化による製品設計が種々の産業分野で活発に行われている。そのため、金属や半導体などの無機材料はもとより、高分子フィルムや塗膜、粘接着材などの有機 材料の表界面や薄膜の構造解析が重要になっている。それは、表界面から分子数個の範囲では、 構造や物性がバルクと大きく異なるので、バルクの構造や物性を基に製品の機能設計をすること ができないからである。

X線や中性子を使った反射率法を使うと、表界面と薄膜の精密構造解析が可能である。また、 密度や膜厚、表面・界面粗さなどの情報を精度よく抽出できる。X 線にない中性子の特徴としては、①磁気モーメントをもつため磁場に敏感、②原子核の構造の違いに敏感、③プローブとして のエネルギーが小さいので試料ダメージがない、などがある。そこで、これらの特徴を生かして、 磁性薄膜や有機薄膜について、X 線では見えない詳細構造を観察することに中性子はよく用いら れる。本講演では、中性子反射率法の原理と、中性子の特徴を使ってどんな評価が可能なのかについて応用例を中心に紹介する。

J-PARC 産業利用ビームライン・小型中性子源活用法

J-PARC 産業利用ビームラインや小型中性子源での活用事例・その成果を利用までの手続きや手順などを含めて紹介します。

10:40-11:00

茨城県材料構造解析装置(iMATERIA)の概要とその利用について
石垣 徹(茨城大)

茨城県材料構造解析装置(iMATERIA)は、茨城県が中性子の産業利用を推進するために、J-PARC 物質・生命科学実験施設(MLF)に県独自に建設を行った、汎用型中性子回折装置で ある。背面バンクから低角バンクまで用いることで 0.18~40Aの広い d 領域の測定が可能であり、背面バンクでは 0.18~5.0Aの領域で、Δd/d~0.16 %を実現している。小角バンクではq=0.007~0.6A-1の領域での測定が可能である。現在 150kW での運転であるが、通常の酸化物系の試料で 1g 程度の試料が用意できれば、10~15 分程度で(背面バンクで)測定可能である。広い範囲に設置された多数の検出器を生かした集合組織の迅速測定も開始されている。茨城県装置では、最短 45 日で実験が可能な一般課題公募を常時受付けており、ユーザーが J-PARCMLFに来なくても装置グループが測定を代行するメールインサービスも実施している。

本講演では、装置の現状や利用成果に加えて、利用システムや利用の実際についてもご紹介する。

11:00-11:20

J-PARC MLF の中性子産業利用
富田俊郎(茨城県)

日本原子力開発機 構と高エ ネルギー 加速器研 究機構が 原子力科 学研究機 構に建設 した J-PARC(Japan Proton Accelerator Research Complex)は中性子とミュオンを使う物質・生 命科学実験施設(MLF:Materials and Life Science Experimental Facility)および中間子や ニュートリノなどの原子核・素粒子実験施設からなり、前者の MLF は産業利用にも供される。 MLF の中核は 3GeV の陽子を水銀標的に衝突させて作る強力なパルス中性子源である(計画 出力は1MW で、中性子の強度は 2013 年には米国オークリッジの同様な設備の強度を抜いて世界一となった)。その周囲には、それぞれ特徴を持った 19 のビームラインが稼働し(全 ライン数は 23)、材料と生命に関する各種実験が行われている。企業の利用も盛んである。過 去 8 年間の平均産業利用率は 28%に達する。特に、BL20(iMATERIA)は茨城県が産業利用の ために設置したラインで、MLF の産業利用の 60%近くを担ってきた。これらを利用している 産業の分野は自動車、化学、電機、材料などと幅広く、適用される材料も Li イオン電池を始 めとして、タイヤゴムなどの高分子材料、触媒や金属材料など多岐に亘る。本講演では、こ のような J-PARC/MLF の中性子設備の特徴、産業利用の状況と成果、また産業利用への応募 方法などについて概説する。

11:20-11:40

工学材料回折装置「匠」の特徴と測定例
川崎卓郎 (J-PARC)

J-PARC 物質・生命科学実験施設 BL19 の工学材料回折装置「匠」は、鉄鋼を始めとした各種構造材料の力学的特性を、中性子回折法によって観測した格子ひずみや相分率など微視的構造情報から評価することを主たる目的とした装置である。

このような目的のため、匠には重量物を積載可能な大型試料ステージや、引張/圧縮変形試験機、高温炉、低温装置などの各種試料環境機器、ならびに、入射ビームスリットやラジアルコリメータなどの光学機器が備え付けられている。また、散乱角 2θ=±90°の一対の検出器バンクによって、直交する 2 方向のひずみを同時に評価することができる。匠では、これらの機器を利用して、材料の格子ひずみや相分率の様々な環境でのその場観察や、構造物内部のひずみ(応力)分布の観察など、材料工学や機械工学に関わる研究が行われている。

本講演では、匠によって評価できる材料特性とその方法、周辺機器の詳細について、実際の測定例や実験の様子を紹介する。

11:40-12:00

現場で使える理研小型中性子源RANSの実用化に向けた挑戦
大竹淑恵(理研)

理研では、陽子線線形加速器ベースの理研小型中性子源システム RANS の実用化へ向けた 計測技術開発を含むシステムの高度化を実施している。現場利用を目指した、コンパクト、 かつ、あまり高くない強度の中性子線を利用した新しい非破壊可視化技術の開発を目指して いる。具体的には、鋼材内部腐食と水の動きの可視化から腐食メカニズムの解明への新たな 挑戦、薄板鋼板塑性加工変形前後の鋼材集合組織変化の短時間観察、オーステナイト相分率 分析など、産業界からのニーズに立脚した開発である。

劣化が深刻化している橋梁やトンネル、空港滑走路などの社会インフラのメンテナンス技 術につながる非破壊観察手法として、新たに高速中性子を利用し反射中性子によるコンクリ ート内部の空隙や水の可視化技術を世界で初めて確立した。

本講演では、新たな産業利用の可能性につながることを期待して、理研の取り組みと、現場利用の需要が高い小型装置による中性子線非破壊観察、中性子線非破壊解析を中心に紹介する。

主催

日本中性子科学会

共催

京都大学原子炉実験所
東京大学物性研究所
高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所
J-PARC 物質・生命科学実験施設
日本原子力研究開発機構 原子力科学研究部門 物質科学研究センター
一般財団法人 総合科学研究機構 中性子科学センター

協賛

中性子産業利用推進協議会
日本放射光学会
一般社団法人 日本鉄鋼協会
日本加速器学会

詳細は 日本中性子科学会第16回年会 のホームページ をご覧ください。

詳細

開始:
2016-12-1 (木)
終了:
2016-12-2 (金)
イベントカテゴリー:
サイト:
http://www.jsns.net/jp/html/nenkai/

主催者

日本中性子科学会
サイト:
http://www.jsns.net/jp/

会場

名古屋大学 豊田講堂
Japan 〒464-8601 愛知県
名古屋市, 千種区不老町
+ Google マップ
サイト:
http://www.itbm.nagoya-u.ac.jp/istbm-3/venue_jp.html