【開催報告】第33回CROSSroads Workshop「メゾスコピック磁性の最前線:偏極中性子のサイエンスと 技術の融合~中性子反射率と小角散乱~」
研究開発部 花島 隆泰
2026年10月7日、8日の両日にわたり、第33回CROSSroads Workshop「メゾスコピック磁性の最前線:偏極中性子のサイエンスと技術の融合~中性子反射率と小角散乱~」が、東海村のAYA’S LABORATORY量子ビーム研究センターにて現地とオンラインのハイブリッド方式で開催されました。参加者は、現地参加52名、オンライン参加25名の計77名にのぼり、終始活発な議論が行われました。
本ワークショップでは、メゾスコピック領域における偏極中性子反射率および偏極中性子小角散乱の利用・装置高度化を中心に、放射光X線(X線磁気円二色性 や共鳴非弾性X線散乱)など関連の深いプローブとの相補利用や最新の偏極解析技術が幅広く紹介されました。また、学生・若手研究者による口頭発表が行われ、次世代の磁性研究を担うコミュニティの熱気あふれる議論が展開されました。
参加者からは、ビームライン利用や測定環境について、「初めて利用する研究者や学生にも何ができるかが直感的に伝わるよう、専門用語だけでなく身近な研究キーワードを用いた広報や導線を充実させてほしい」「特別な加工をしなくても、研究室で普段作製している試料をそのまま持ち込んで測定できるような試料環境の共通化・自動化を進めてほしい」といった貴重なご意見をいただきました。施設側からは、放射光施設(SPring-8、NanoTerasu等)や研究用原子炉(JRR-3)との連携に向けた協議や仕組みが紹介され、今後の多角的な相補利用の推進について活発な意見交換が行われました。
研究会最後の総括セッションでは、「かつては先達の研究者からも『希土類化合物の磁性や微小スピンなど中性子で測れるわけがない』と言われていたが、研究者の情熱と装置開発者の技術革新によって、その常識は覆されてきた」「最初から『できない』と諦めず、『この現象をどうしても測りたい』という強い思いを持ち、その声を発信し続けることが、研究ニーズと技術シーズの相乗効果を生み、科学技術の発展を促す原動力となる」とのメッセージが述べられました。また、J-PARCの第2ターゲットステーション計画やJRR-3の将来構想を見据え、若手研究者が次世代の測定ニーズを積極的に提案し、量子ビームの相補利用に新たな展開をもたらすことへの期待が寄せられ、盛況のうちに閉会しました。
謝辞: 研究会開催に尽力してくださった世話人の皆様、様々な事務手続きや会場設営などをしてくださった利用推進部の皆様、大変有意義な講演をしてくださった講演者の皆様、そして、本研究会にご参加いただき活発なご議論をいただきました皆様に、心より感謝申し上げます。


