【開催報告】 第9回 大型実験施設とスーパーコンピュータとの連携利用シンポジウム」

2023.11.01

【開催報告】 第9回 大型実験施設とスーパーコンピュータとの連携利用シンポジウム」

2023年9月4日第9回大型実験施設とスーパーコンピュータとの連携利用シンポジウムを総合科学研究機構(CROSS)は、高輝度光科学研究センター(JASRI)、高度情報科学技術研究機構(RIST)との共同主催により、東京秋葉原UDXカンファレンスにて、オンライン併用で開催しました。

マテリアルデータサイエンスにおいて、大量のデータを日々生み出す大型実験施設であるSPring-8、J-PARC MLFと「富岳/京」をはじめとするスーパーコンピュータでは、互いの連携利用によって産み出されるビッグデータが、新たな研究成果創出の芽として期待されています。特に自動測定に機械学習と数値シミュレーションを組み合わせることで、物質研究・開発のさらなる高効率化が可能になります。

第9回となる本シンポジウムでは、先ず文部科学省の林周平氏からご挨拶をいただき、SPring-8及びJ-PARC MLFの各施設と登録機関の紹介がありました。続いて、大型実験施設とスーパーコンピュータの連携によるデータ駆動型マテリアルサイエンスの実現に向けた、超大規模マテリアル計測データのリアルタイム解析、計測データからのマテリアルマップ作成についての講演がありました。自動測定システムの開発、効率的な測定の実現によって研究のパラダイムシフトが生まれ、大型共用施設がデータ生産工場へ変容し、理論では第一原理計算データを活用した機械学習ポテンシャルから物質の特性が予想される中、研究者が何に注力すべきか提言されました。

さらにポスターセッションでは、内閣府が省庁連携プロジェクトとして始めたデータ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト(DxMT)からのポスター3件の他に、東北で新しく建設された放射光X線施設「ナノテラス」からの1件を加えて発表がありました。

オンラインと合わせた参加者総数は202名であり、これまで同様に多くの方々にご参加いただき、活発な質疑応答が繰り広げられました。

大阪大学小野先生の講演の様子

RIKEN/SPring-8平田先生の講演の様子

京都大学沼田先生の講演の様子

意見交換・ポスターセッションの様子



シンポジウム参加者へのアンケート調査では、企業からの参加者が45.7%あり、全体として94%の方が参加目的を達成されました。今後の SPring-8、J-PARC/MLF、「富岳」HPCI の連携利用について、7 割以上が検討されるとの結果でした。今後、このような連携シンポジウムを継続して開催することにより、産官学の連携も含めて、有意義な大型実験施設とスーパーコンピュータとの連携利用が促進されることを期待します。

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