センター長挨拶

センター長挨拶

一般財団法人 総合科学研究機構(CROSS)中性子科学センターは特定中性子線施設である物質・生命科学研究施設(J-PARC MLF)の利用促進業務を行っている組織です。2011年に文部科学大臣から登録施設利用促進機関として指定を受けた時はほぼゼロからのスタートでしたが、2016年からの第二期を経て、2021年4月、以下の5つのスローガンを掲げ、第三期を始動しました。

1.組織間連携の促進による新規利用者獲得・新規利用分野への展開
2.1MW大強度中性子ビームの有効利用、ビームタイム利用効率の向上
3.新規成果指標の導入、優れた成果の迅速な発信
4.世界トップレベルの量子ビーム施設へ、世界中の研究者を施設へ
5.中性子科学の発展に貢献する人材の育成

2022年度は、新型コロナウィルスによる利用制限が緩和された一方で、電気代高騰により利用運転時間の短縮を余儀なくされました。幸いにも、補正予算のおかげで、多くの課題を救済・実施できました。そうした中でも、MLFの成果創出は質・量ともに順調に拡大してきました。それを支えていたのが、厳正な課題選定、丁寧な利用者支援、正確な情報分析・支援、分かりやすい講習会・研究会の開催、産業利用推進などです。

さて、2023年度は、CROSSにとって大躍進の年になります。2本の茨城県ビームライン(BL) iBIXとiMATERIAの運転維持管理・利用者支援を受託し、新たに「中性子産業利用推進センター」を創設し、新メンバーとともに、県中性子事業の推進のお手伝いをします。CROSS中性子科学センターが担当していた従来からの7本の共用BLと合わせると、現在MLFで運転されている21本のビームラインのうち、9本のビームラインをCROSSが担当することとなり、共用BLと県BL(専用BL)の間に大きな相乗効果が期待されます。その一方で、MLFにおける役割も責任もこれまで以上に大きくなります。

2023年度は、J-PARCとJRR-3の共通のプラットフォームであるJ-JOIN (J-Joint Office for Innovation )や量子ビーム分析アライアンス、さらには茨城県科学技術振興財団などを通じた新規利用者獲得・新規利用分野への展開も大きく進展すると期待されます。2023年度は、中性子関連の多くの国際会議が控えており、CROSSはそれらを視野にいれた活動をすることで、世界トップレベルの量子ビーム施設であるMLFの活動の一翼を担ってまいります。

中性子科学センターは、登録施設利用促進機関として、これまで通り、社会的責務を忠実にこなしてまいります。ユーザーならびにコミュニティを始め広く皆様のご理解とご支援をよろしくお願いします。

Shibayama Mitsuhiro

令和5年4月1日
一般財団法人総合科学研究機構
中性子科学センター長 柴山 充弘