「第4回J-PARC/MLFシンポジウム・茨城県ビームライン平成23年度成果報告会」開催

2012.10.19

「第4回J-PARC/MLFシンポジウム・茨城県ビームライン平成23年度成果報告会」開催

2012年10月10、11日の二日間、東京の日本科学未来館にて、第4回J-PARC/MLFシンポジウムと茨城県ビームライン平成23年度成果報告会が合同で開催され、企業、大学、研究機関等合せて200名以上の参加がありました。
MLFシンポジウムはこの1年間で実施されたJ-PARCでの実験や活動の報告がメインで行われるものです。2011年4月から活動を開始したCROSS東海も今回初めて正式参加し、成果報告を行いました。

開会の挨拶:新井正敏氏

J-PARC物質・生命科学実験施設は、東日本大震災により受けた被害から復旧し、2012年1月より供用運転を再開しました。本シンポジウムでは、装置群の現状報告と共に利用研究や装置開発の成果を紹介し、今後の展開に向けた議論を行いました。特に今回は、MLFシンポジウムと茨城県ビームライン成果報告会を合同開催することで、幅広く施設・ユーザー間の相互理解・交流が促進されました。

初日は、J-PARCセンター物質・生命科学ディビジョン長である新井正敏氏の開会挨拶、来賓の 原 文科省量研室長、池田 J-PARCセンター長、林 茨城県企画部技監 の挨拶で始まりました。
続いて物質・材料研究機構の宝野和博氏による特別講演では、ハイブリッド自動車用の駆動モーターに使われている (Nd,Dy)-Fe-B系焼結磁石(ネオジウム・ディスプロシウム-鉄-ホウ素系焼結磁石)の持つ高い性能(保磁力)を、資源問題のあるDyを使わないで実現するための開発研究について示唆に富んだ紹介がありました。

活発な意見交換

野口祐二氏(東京大学)

池内和彦氏(CROSS)

ポスターセッション

午後には、研究ハイライトをはじめ、3つのセッション(化学・生物・高分子・ソフトマター、物性、環境・エネルギー)で発表がありました。

2日目は、負ミュオンX線測定による非破壊元素分析法により、天保小判の表面近傍の金の深さ方向の濃度変化を非破壊的に測定することに初めて成功したという発表等がありました。また、ポスターセッションでは、80件以上の発表や企業展示が行われ、有意義な情報交換の場となりました。茨城県のビームラインについての成果報告会では、リチウムイオン電池材料であるLi5+xLa3ZrxNb2-xO12(x=0-2)のLiイオン伝導度が最大を示す機構を明らかにするために、中性子とミュオンを用いて詳細な構造と拡散挙動を調べたという発表等がありました。

橋爪大輔氏(理化学研究所)

春日井好己氏(JAEA/J-PARCセンター)

最後に、MLFへの要望を議論する場が設けられ、MLFにおける試料の取扱いや、試料環境機器・試料準備室、利用者支援システム等について、利用者と施設側との間で意見交換が活発に行われました。

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