界面ナノ電子化学研究会/CROSS東海合同セミナーの開催報告を掲載しました

2016.08.17

界面ナノ電子化学研究会/CROSS東海合同セミナー

7月15日(金)に関東化学株式会社本社(東京都中央区日本橋)にて界面ナノ電子化学研究会/CROSS東海合同セミナー「界面ナノ電子化学における中性子解析の可能性」が開催され、界面ナノ電子化学研究会の会員を中心に30名の参加がありました。このセミナーは、2015年9月に開催された応用物理学会秋季学術講演会「産学協働の広場―企業の課題相談会―」の界面ナノ電子化学研究会によるポスター発表で、CROSS東海サイエンスコーディネータの福嶋喜章氏と研究課題に対して中性子解析を活用できないか議論したことがきっかけとなり開催されました。

会場の様子


先端半導体デバイスは構造の微細化および電子材料の多様化が急速に進んでいます。もはや半導体デバイスの配線幅は洗浄溶媒分子の大きさと同程度になっており、効果的な洗浄を行うためにはシリコンと溶剤分子の吸着構造を明らかにする必要があります。このようなウェット洗浄技術を含めたウェットプロセス技術の開発には、固体、液体界面における現象をナノレベルで理解することが必要となっています。中性子解析技術で電子材料表面や洗浄媒体の挙動を明らかにし、次世代ウェットプロセス技術の開発に結び付く知見が得られると期待されています。セミナー開催に先立ち、研究会運営委員の矢野大作氏(オルガノ)は「日本の半導体洗浄技術は世界をリードしています。更なる技術革新のために中性子解析を役立てたい」と話しました。

発表の様子


初めに高エネルギー加速器研究機構(KEK)助教の山田悟史氏が、中性子実験未経験の参加者向けに「中性子とは何か」と題し、中性子実験手法の中でも界面構造解析に関連性の高い反射率法について解説しました。総合科学研究機構 中性子科学センター(CROSS東海)研究員の山田武氏は、中性子準弾性散乱法と解析方法の詳細な説明を加えながら、リン脂質二分子膜中の水のダイナミクス研究を紹介しました。九州大学准教授の川口大輔氏は、溶媒に浸る高分子膜および電解質膜の界面構造を中性子反射率法で解析した最新成果を発表しました。東北大学准教授の矢代航氏は、放射光だけでなく中性子での応用が期待されるシリコン清浄表面の精密構造を解析する方法について、表面回折、イメージング実験から最近進展している位相回復方法まで幅広く解説しました。各講演後の質疑では、中性子実験の方法だけでなく、そこから得られるサイエンスについても多くの質問がありました。

総合討論では実際の中性子実験に必要な試料量など具体的な測定条件について議論が交わされ、最後に福嶋氏から、課題申請手続きや申請書の作成手順に関する説明がありました。セミナーを通して課題申請への端緒が開かれました。

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