CROSS研究生滞在報告 京都大学 田端氏
【テーマ:柔粘性イオン結晶(IPC)重水素化とIPC/電極界面におけるナノ構造解析】
研究開発部 阿久津 和宏
京都大学 工学研究科 修士課程1年 田端 伊織さんが、CROSS中性子科学センター研究生として、2024年6月3日(月)〜6月7日(金)に、柔軟性イオン結晶試料の合成技術を確立するとともに、中性子反射率法によるIPC/電極界面構造解析の予備実験の実施に取り組みました。
実習内容
今回の実習では、初日に実習全体のスケジュール作成と各種安全教育を行い、実習の前半はIPCの重水素化実験と薄膜試料合成の条件検討、実習の後半は中性子反射率実験及びデータ解析を実施することになりました。2日目からはIPCの重水素化実験と薄膜試料合成の条件検討を同時並行で行いましたが、どちらの実験も想定外の事態が発生し、実験計画の大幅な見直しが必要となりました。IPCの重水素化は断念しましたが、IPC薄膜試料作製については成膜温度条件を細かく調べることで、中性子反射率実験が可能なレベルの試料を作製することができました。
実習4, 5日目にはBL17写楽にて中性子反射率実験を行い、有意義なデータを得ることが出来ました。また、6月10日には実習報告会を開催し、柴山センター長を始めとした参加者と発表内容に関する討論やIPC試料の応用に関する有意義な意見交換を行いました。
CROSS研究生実習を終えて
田端さんには、実習初日に全体のスケジュールを立てて貰い、それに従って試料重水素化等の実験を進めました。試料作製では想定外の事態が発生し実験計画の大幅な見直しが必要となりましたが、田端さんはIPC薄膜試料の成膜温度条件を細かく調べることで問題を解決し、最終的には中性子反射率実験に必要な試料を準備することが出来ました。実習後半の中性子反射率実験は予定通り実施し、当初の目的であったIPC/電極界面構造解析のための予備実験は滞りなく終了しました。今回の実習では、IPC重水素化方法の開拓などの新たな課題が表面化しましたが、今回の実習で得られた知見を今後の大学での取り組みに役立てて頂けたら幸いです。