CROSS研究生滞在報告 奈良女子大学 長濱氏
【テーマ:グリシンとマルトースを用いたアミノ酸-糖ハイブリッド界面活性剤水溶液のレオロジー挙動に関する研究】
研究開発部 岩瀬 裕希
2021年12月2日~21日の日程で、奈良女子大学 大学院人間文化総合科学研究科 博士前期課程1年の長濱佑美さんが、CROSS研究生として、J-PARC研究棟物性測定室において研究活動を行いました。
長濱さんは、これまでアミノ酸と糖のハイブリッド界面活性剤を新規に合成し、表面張力などの物性測定、SPring-8でのX線小角散乱(SAXS)測定、低温透過型電子顕微鏡(cryo-TEM)観察などにより研究しています。今回の活動は、J-PARC研究棟に設置されたレオメータを用いたレオロジー測定に重点を置き、界面活性剤が溶液中で形成する構造の理解を深めていくものでした。
はじめに、レオロジー測定について学びました。測定を始める前に、これまでの研究背景を説明してもらい、測定計画について議論しました。その後、測定計画に沿って昼夜を問わず実験を行いました。測定の合間には、SPring-8で測定したSAXSの解析についても議論し、小角散乱に関する知識を深めてもらいました。今後は中性子小角散乱(SANS)の利用も期待しています。
実験前の打合せにおいて、これまで得られた結果を紹介してもらった際には、4月から実験を開始したにも関わらず多くのデータがあることに大変驚きました。しかし、実習期間中の真剣な研究活動を間近で見て、その理由を理解することができました。就職活動も行いながら、20日間という長い期間の実習に実直に取り組んでいました。
今回のCROSS/J-PARCでの活動で得られた結果が、長濱さんの研究をさらに加速されることを願っています。また、活動期間中、J-PARC研究棟での活動の際、ご配慮いただきましたJ-PARC利用セクションの青木裕之研究員、伊藤華苗研究員、Liu Yuwei研究員に御礼申し上げます。
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