CROSS研究生体験記 東海大学 原氏
東海大学 工学部 光画像工学科四年
原 竜弥
私は2023年7月24日から7月28日の5日間、一般財団法人総合科学研究機構(CROSS)中性子科学センターの研究生として、坂口佳史主任研究員ご指導の下、X線・中性子反射率についての講義、X線反射率データの解析の手法をご教授頂きました。ここに体験記として活動内容を報告します。
私は、X線反射率法によるアモルファス二流化ゲルマニウムへの銀のフォトドーピングの解明に取り組んでいます。フォトドーピングとは、非晶質カルコゲナイドとある種の金属に2層膜に光を照射するとカルコゲナイド中へ金属が異常拡散される現象です。Motofitという世界の諸施設でもよく用いられている解析ソフトを用いてフォトドーピングの過程を観察していたのですが、自分だけではうまく解析が進まなかったため、今回のCROSS研究生研修に応募させて頂きました。
X線・中性子反射率講義では、X線反射率のグラフがどのようなパラメータで構成されているかがわかりました。また、そのパラメータがグラフのどの部分に影響を及ぼしているのかを理論式を用いてご説明下さり、解析する際にはどのパラメータの数値に着目するべきかなどが考えやすくなりました。
予定では、X線反射率データの解析で3つのデータを処理する予定でしたが、時間が足りず、2つしかフィッティングが終わりませんでした。しかし解析を行いながら、坂口氏から様々な測定方法や、これからの実験方法、Motofitの解析結果からの考察を詳しく教えて頂けたため、これまでとは違い自分で根拠のある考察をすることができるようになりました。研修を受ける前は右も左もわからない所からスタートしましたが、今では自分でフィッティングを行い、それが正しいか否かを考えることができるようになりました。今回学んだ内容を基に、より詳細な銀のフォトドーピングの解明に向けて精進して参ります。
最後になりましたが、今回の実習を受け入れてくださいました柴山充弘中性子科学センター長、指導していただいた坂口佳史氏、お忙しい中、報告会に参加され貴重な質問ご意見を頂きました皆様方に、深く感謝致します。また、研究室でご指導いただいている渋谷武久教授(東海大学)、村上佳久博士(筑波技術大学)にも、CROSSでの貴重な経験の機会を与えていただきまして深く感謝申し上げます。