研究生体験記
岐阜薬科大学 薬品化学研究室 博士課程3年
高倉 稜弥
私は、岐阜薬科大学創薬化学大講座薬品化学研究室に所属し、プロセスケミストリーを指向した新規有機合成反応の開発研究に取り組んでおります。近年、中性子を利用した有機分子の構造分析法である「重水素ラベル化分子によるコントラスト変調法」が注目されています。今回の研究では、コントラスト変調法について造形が深い阿久津和宏研究員を受入研究員として、上記実験に用いられる重水素標識化合物の合成実験と赤外分光法(IR)を用いた安定性評価実験を行いました。
実際の実験では、大学とは異なる場所で行う実験の難しさを痛感する一方で、いばらき量子ビーム研究センター(IQBRC)のユーザー実験室準備室に導入された機器類(FT-IR分光計、自動器具洗浄機など)により作業が効率化されたことも印象的でした。研究後半でJ-PARCに見学に行った際には、物質・生命科学実験施設(MLF)がメンテナンス中だったこともあり各ビームライン(BL)での実験を直接見ることはできませんでしたが、阿久津研究員にMLF内にある模型やポスターなどを丁寧に説明して頂いたため、中性子を利用した各研究の概要を簡単に学ぶことができました。研究終了後は、続けてJ-PARC symposiumにも参加し研究中の研究成果をポスター発表しました。
私は大学で有機化学を専攻していますが、今回の研究では普段の研究室で学ぶことができない専門外の知識に触れる機会が多くあり、大変貴重な体験だったと思います。今回学んだ中性子に関する知識を研究室の学生間で共有するとともに、今後の自身の研究にも生かしていきたいと思います。また、私のように中性子を用いた研究をこれから行う学生でも有意義な研究となることを、本記事を通して知って頂ければ幸いです。
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