オルンスタイン=ゼルニケ関数とデバイ=ビュッケ関数

最終更新日:2026.9.3

小角散乱データの解析でよく使われるオルンスタイン=ゼルニケ関数とデバイ=ビュッケ関数について解説します。


小角散乱データの解析では、いろいろな人の名前を冠する関数がよくでてきます。オルンスタイン=ゼルニケ(Ornstein-Zernike)関数(OZ関数)とデバイ=ビュッケ(Debye-Bueche)関数(DB関数)もそうですが、その違いや用法について知っていますか?ここでは、これら2つの関数の特徴や物理的意味(背景)について、比較表を作ってみました。

OZ関数は、ゆらぎのある一相系を表す散乱関数で、その漸近挙動はI(Q) ~ 1/Q^2となります。一方のDB関数は、ランダムな形状をもつ二相系の散乱関数で、その漸近挙動はI(Q) ~ Q^(-4)となります(ポロド則)。実験散乱関数を、これらの理論散乱関数でカーブフィッティングすることにより、ゆらぎを特徴づける相関長ξ、相の大きさを特徴付ける長さΞが求められます。

もう少し詳しく、これら2つの散乱関数の物理的意味を考えてみましょう。

OZ関数に対応するのは、湯川ポテンシャルと呼ばれる関数です。これは、クーロンポテンシャル型のポテンシャル関数1/rに指数関数型の減衰関数e^(-r/ξ)を掛けたものです。これを3次元フーリエ変換すると、OZ関数が得られるます。ここで、ξは遮蔽長とか相関長と呼ばれる量です。(注:ポテンシャル関数1/rそのものの3次元フーリエ変換したものは1/Q^2となります)。磁性体の相関長、二成分流体の相関長などのほか、高分子準溶液における相互作用の遮蔽長、ゲルの相関長なども、このOZ関数によって求められます。

DB関数に対応するのは、指数関数e^(-r/Ξ)型の相関関数です。イメージとしては、海島構造のある島の一点に注目し、そこからrだけ離れた点がまだ同じ島にある確率が指数関数e^(-r/Ξ)的に減衰すると仮定しています。それを3次元フーリエ変換することでDB関数が得られます。

両者、似て非なるもの、ですね。お間違えなく。


付録:OZ関数、DB関数の誘導