シュレーディンガー・ハイゼンベルグ・ディラック方程式

最終更新日:2026.9.23

シュレーディンガー方程式、ハイゼンベルグ方程式、ディラック方程式の違いをまとめてみました。


量子力学ではまずシュレーディンガー方程式を学びます。多くの人はそれで満足、いや挫折してしまっているのでは?少し深く学んだ人はハイゼンベルグ方程式についても勉強しましたね。さらに深く深く学んだ人はディラック方程式についても勉強したことでしょう。私は当然、第一段階でしたが・・・
最近、本棚に眠っていた朝永振一郎先生の「量子力学と私」(岩波文庫)の「物理学界四半世紀の素描」を読み返したところ、たくさんたくさん疑問が湧いてきました。その中の一つのテーマが、「シュレーディンガー方程式、ハイゼンベルグ方程式、ディラック方程式とは?」 です。一つ一つ考えるとわけがわからなくなるので比較、整理してみました。

まず、これらを一言でいうと、シュレーディンガー方程式は波動力学、ハイゼンベルグ方程式は行列力学、ディラック方程式は相対論的量子力学です。シュレーディンガー方程式が一番古いと思うかもしれませんが、時系列としてはハイゼンベルグ(1925年)、シュレーディンガー(1926年)、ディラック(1928年)です。でもわずか数年の間に、相対性理論まで取り入れた量子力学が創られたとは驚きですね。およそ100年前、湯川秀樹先生や朝永振一郎先生たちは、怒涛のような量子力学の発展にリアルタイムで接し、必死になって理解、発展させて自らの理論を構築されたのですね。100年経った今でも、凡人にはとてもフォローできません!
言い訳、ぼやきはさておき、まずはシュレーディンガー方程式とハイゼンベルグ方程式を表(Table 1)にして比べてみました。

シュレーディンガー方程式とハイゼンベルグ方程式


なんだかわかったようなわからないような。そこで、AIさんに、シュレーディンガー描像とハイゼンベルグ描像の例えとして、動いている電車を外から眺めるのと動いている電車の中から外の景色を眺める、でいいでしょうか?と質問したところ、
「その例えは非常に的確で本質を捉えています。まさにその捉え方で問題ありません。」とのお褒めの言葉をいただきました。さらに、 「どちらの立場をとっても、「電車と窓の外の景色(またはプラットフォーム)との相対的な位置関係の変化」はまったく同じように観察されます。」と説明していただきました。(^_^)

なお、表中のハイゼンベルグ描像のところででてきている、[ ]はポワソンブラケットと呼ばれる表式です。詳しくは、「10. 解析力学とハミルトニアン」、「15. ポワソンブラケット」をご覧ください。

シュレーディンガー方程式とディラック方程式

つぎに、シュレーディンガー方程式とディラック方程式を比較してみます。(無責任ですが、書いている私自身、ディラック方程式についてはほとんど理解できていません。でも、ディラック方程式のどんなところがすごいのか、どういうところでディラック方程式がつかわれるのか、について知っておくのは有用だと思い、AI先生を頼りにまとめてみました。)
概要
相対論との整合性: シュレーディンガー方程式は時間が1階微分・空間が2階微分であるため、ローレンツ変換に対して不変ではありません。ディラック方程式は時間と空間を同等に1階微分で扱うことで特殊相対性理論を満たします。
スピンと反粒子: ディラック方程式では、時間と空間の対称性を保つために波動関数を4成分スピノル構造にする必要があり、その結果としてスピン 1/2 の性質と反粒子(陽電子など)の存在が自ずと導かれます。
用語説明:
「ローレンツ変換」「互いに等速直線運動をしている2つの観測者の間で、時間と空間の座標(t, x, y, z)を相互に変換するための数学的公式」、ニュートン力学で使われていた「ガリレイ変換」に代わるもの。詳しくは、「14. ローレンツ変換」をご覧ください。
「スピノル構造」:「曲がった空間(多様体)の上で、スピノル(電子などのスピン1/2を持つ粒子を表す場)を矛盾なく正しく定義・計算できるようにするための幾何学的・トポロジー的な仕組み」
専門用語が出てくるたびに思考停止!?になりますが、とにかく進めましょう。

ディラック方程式のご利益:
1. スピン(電子の自転のような性質)が「自然に」導出された(シュレーディンガー方程式では後から手動で付け足し)
2. 反粒子(陽電子)の存在を予言・発見した
3. 水素原子の「微細構造」を正確に説明できた
4. 電磁相互作用の基礎、量子電磁力学(QED)への道を開いた
5. 異常磁気モーメント(g ≈ 2)の理論的裏付け

ディラック方程式とは、量子力学の基礎方程式であるシュレーディンガー方程式を、特殊相対論の要請を満足するように修正した方程式である。ディラック方程式を用いることによって、電子などスピンをもつフェルミ粒子の状態がより正確に記述できるようになりました。 つまり、シュレーディンガー方程式が「ミクロな世界を記述するルール」だったのに対し、ディラック方程式は「ミクロな世界と、光速に近い高速の世界を繋ぐ完全なルール」なのです!
それではいよいよ両方程式を表で比較してみましょう。

ここでも、表中のディラック方程式の中に不思議な演算がでてきています。これについては後日、説明したいとおもいます。(できれば・・・、ですが)((_ _))