20世紀前半の主な物理学上の発見

最終更新日:2026.9.26

20世紀前半(1900年〜1950年)の主な物理学上の発見(理論、仮説、実験)をまとめてみました。朝永振一郎先生によれば、理論の1925年には、行列力学(ハイゼンブルグ)、波動力学(シュレーディンガー)、発見の年1932年には、中性子の発見(チャドウィック)、重水素の分離ユーレー)、リチウムからアルファ線の取り出し(コッククロフト、ウォルトン)、陽電子の発見(アンダーソン)などがみられます。なんともすごい原子物理学・量子論百花繚乱時代でしたね。

年代 発見・理論 発表・発見者 概要・影響
1900年 量子仮説 マックス・プランク 空洞放射の法則を説明するため、エネルギーが連続的ではなく「量子(不連続な塊)」として放出・吸収されると提案。量子力学の幕開け。
1905年 光量子仮説 アルベルト・
アインシュタイン
光を粒子(光子)の集まりとして解釈し、光電効果を説明。光の波と粒子の二重性の提示。
1905年 特殊相対性理論 アルベルト・
アインシュタイン
光速不変の原理と相対性原理に基づき、時間や空間が観測者によって変化することを示した。質量とエネルギーの等価性(E=mc²)を導出。
1911年 原子核の発見 アーネスト・ラザフォード α線の金箔散乱実験により、原子の中心に非常に小さく重いプラスの電荷を持つ「原子核」が存在することを解明(ラザフォードの原子模型)。
1911年 超伝導の発見 ヘイケ・カメルリング・
オネス
水銀を液体ヘリウムで極低温(約4.2 K)まで冷却した際、電気抵抗が完全にゼロになる現象を発見。
1913年 ボアの原子模型 ニールス・ボア 量子化された電子軌道の概念を導入し、水素原子のスペックトル系列を正確に説明。初期量子論を確立。
1915年 一般相対性理論 アルベルト・
アインシュタイン
重力を「質量による時空の歪み」として記述する理論を完成。星の光の曲がりやブラックホールの存在を予言。
1923年 コンプトン効果 アーサー・コンプトン X線が電子によって散乱される際、波長が長くなる現象を発見。光が粒子としての運動量を持つことを決定づけた。
1924年 物質波(ド・ブロイ波) ルイ・ド・ブロイ 光だけでなく、電子などの物質粒子も波としての性質(波長 λ = h/p)を持つという仮説を提唱。
1925年 行列力学(量子力学の創始) ヴェルナー・ハイゼンベルク 可観測量のみを用いて量子的な現象を記述する新たな力学体系を構築。
1926年 波動力学
(シュレーディンガー
方程式)
エルヴィン・
シュレーディンガー
物質波の概念を数学的に定式化し、電子の挙動を波動関数 ψ で記述するシュレーディンガー方程式を提案。
1927年 不確定性原理 ヴェルナー・ハイゼンベルク 粒子の位置と運動量を同時に精度よく測定することは原理的に不可能である(Δx Δp ≥ ℏ / 2)ことを示し、古典的因果律を破綻させた。
1927年 化学結合の理論 ハイトラー、ロンドン 量子力学を用いて共有結合の仕組みを初めて定量的に解明した理論。原子価結合法(VB法: Valence Bond Theory)の基礎。
1928年 ディラック方程式
(反物質の予言)
ポール・ディラック 特殊相対性理論と量子力学を統合した電子の運動方程式を提示。解として電子の「反粒子(正孔=陽電子)」の存在を理論的予言。
1932年 中性子の発見 ジェームズ・チャドウィック 電荷を持たない原子核の構成粒子である「中性子」を発見。原子核物理学の発展に大きく貢献。
1932年 陽電子(反物質)の発見 カール・アンダーソン 宇宙線の観測実験において、ディラックが予言した正の電荷を持つ電子(陽電子)を実際に発見。
1935年 中間子論 湯川秀樹 原子核内で陽子や中性子を結びつける強力な力(強相互作用)を媒介する未知の粒子「中間子」の存在を理論的に予言。
1938年 核分裂反応の発見 オットー・ハーン、
フリッツ・シュトラウスマン、
リーゼ・マイトナー
ウラン原子核に中性子を照射すると、ほぼ等しい大きさの2つの原子核に分裂し、膨大なエネルギーを放つ現象を発見。原子爆弾や原子力発電への道を開く。
1947年 パイ中間子の発見 セシル・パウエル 湯川秀樹が予言した中間子(π中間子)を宇宙線写真の中から実際に観測・発見。
1940年代後半 くりこみ理論
(量子電磁力学の完成)
朝永振一郎、
リチャード・ファインマン、
ジュリアン・シュウィンガー
量子電磁力学(QED)における無限大の発散問題を解消する計算手法「くりこみ理論」を独自に確立し、非常に高精度の理論予測を可能にした。