2021.06.02
J-PARCセンター令和2年度良好事例表彰 創意工夫賞 大内啓一氏受賞
J-PARCセンターは、ハドロン実験施設における放射性物質漏洩事故(平成25年5月23日(木))の教訓を風化させることなく職員の安全意識を高める「安全の日」を、令和3年5月28日(金)に実施しました。
「安全の日」では、前年度の安全パトロールで挙げられた良好事例の中から特に優れたものが表彰され、CROSSの大内啓一氏が物質・生命科学実験施設(MLF)第2実験準備室で実施している「消耗品のQRコードによる管理」について「創意工夫賞」を受賞しました。今回の受賞はCROSSとして初めての受賞になります。消耗品の管理に限らず、実験機材類なども適切に管理することで、より安全な実験環境の形成や研究成果へと繋がっていくことでしょう。
QRコード導入の目的
CROSSでは、MLFでの実験支援のため、MLF第2実験準備室において約800種類の消耗品を提供しています。これらの消耗品を利用する場合、以前は実験用消耗品持出簿(用紙)に、1品種毎に①持出日、②氏名、③所属、④使用場所、⑤連絡先、⑥品名、⑦型番、⑧数量を記入するようにしていました。しかし、記入する情報が多いことや実験中に急いで取りに来ることなどが影響したためか、読み取り困難な記入が散見されました。その為、持出情報の登録及び集計を簡単に短時間でできるように、バーコードより面積を取らないQRコードによる管理を導入することにしました。
QRコード導入時のポイント
1)異なる型式毎にQRコードシールの準備と貼り付け
QRコードシールを一つ一つの消耗品に貼るとすると、補充(購入)のたびにシールを貼ることとなり現実的ではありません。そこで、消耗品を型式毎に箱に分類し、その箱にシールを貼ることにしました。消耗品の設置スペースが限られる中、上手く整理できたときは嬉しく思いましたが、その後の約800種類のシールをひたすら貼る作業はとても大変でした。
2)消耗品の持出手続きの簡便化
消耗品の持出手続きの可能な限りの簡便化を考え、QRコードリーダー内蔵の管理ソフトを消耗品管理向けにカスタマイズしています。管理に必要な情報は、持出日時、利用者、利用場所、消耗品(型式)、数量です。利用者毎に利用者QRコードを提供するとともに、消耗品設置場所に利用場所QRコードの一覧表を配置しました。持出手続き作業は、利用者QRコード、利用場所QRコード、消耗品QRコードを読み取り、その後に数量を入力するだけです。つまり、QRコードの3回の読み取りと数量の入力で完了です。更に続けて手続きをしたい場合は、消耗品QRコードの読み取りと数量の入力のみで手続きが済むようにしました。また、QRコードの定義とリーダー画面上の入力欄を関係付け、例えば、利用場所QRコードを読み取れば対応する入力欄に自動で利用場所がセットされるようにしました。これらの結果、簡便に持出手続きを行えるようになりました。