CROSS中性子科学新センター長挨拶

2020.06.02

2020年6月1日、中性子科学センター長に就任しました柴山充弘です。3月までは東京大学物性研究所附属中性子科学研究施設長として原子炉中性子源JRR-3を利用した中性子散乱全国共同利用の推進を行ってきました。これまではパルス中性子源であるJ-PARC MLF(物質・生命科学実験施設)のユーザーとして、あるいはMLF施設利用委員会・選定委員会委員や中性子アドバイザリー委員会委員としてJ-PARCにかかわってきましたが、これからは共用ビームラインの利用促進や課題選定業務などに従事していきます。どうかよろしくお願いします。

ご存じのように、一般財団法人総合科学研究機構(CROSS)は特定中性子線施設の登録施設利用促進機関として文部科学大臣より選定され、2011年4月からJ-PARC MLFの利用促進業務をおこなっています。初代藤井保彦東海事業センター長によるセンターの立ち上げ、第二代横溝英明中性子科学センター長による組織の体系化により、このセンターは今やMLFを支える重要な機関へと成長しました。BL01(四季)、BL02(DNA)、BL11(PLANET)、BL15(大観)、BL17(写楽)、BL18(千手)、BL22(螺鈿)の7本の共用ビームラインでの実験支援はもちろん、課題選定業務、試料環境の整備、MLF活動の広報・情報支援、CROSSroadsワークショップや中性子・ミュオンスクールなどによる啓蒙・広報活動、機能性高分子コンソーシアム等を通じた産業界との交流・研究支援など、非常に幅広い事業を通じてMLFの活動を支援し、ユーザーとMLFのインターフェースの役割を演じてきました。この路線をさらに発展・充実させていく所存です。

J-PARC MLFのこれまでの歩みをビル建築に例えると、第1期(線源や装置の開発・設計)は設計・見積もり、地盤整備や基礎工事など、第2期(建設と試験運転)は資材調達から建築さらには内装・インテリア整備、そして第3期(コミッショニングから利用運転)になると商業施設や住居などとしてのビル機能が始まります。J-PARCは、これまでに大震災などといった幾多の困難に遭遇しながらも、それらを乗り越えて完成し、多くの成果を世に還元できるまでになりました。しかし、「竣工」が終わりではなく、まだスタート地点に立った段階であり、今後、ますますの活躍が国の内外そしてコミュニティから期待されています。再びビルに例えるなら、第4期はビルの機能強化や拡張などにより、より効率的で生産性の高い商業施設や居住性に優れたビルへと発展させるステージです。現在、新型コロナウィルス蔓延によるJ-PARCの運転停止や利用の遅れなどが出ていますが、この困難をチャンスと捉え、テレワークや遠隔実験、オープンデータ化・オープンサイエンス化などといった新しいスタイルの利用促進も取り入れた運営を目指していきたいと思います。

中性子科学センターには個性あふれる人材がそろっています。薬師寺金堂再建を指揮した名棟梁、西岡常一氏の名言「木の癖組は人組なり。人組は人の癖組なり」にならい、個性ある人をまとめていくのが棟梁の仕事、と肝に銘じて、J-PARCやコミュニティからこれまで以上に期待される中性子科学センターにしていきたいとおもいます。皆様のご支援とご鞭撻をよろしくお願いします。

Shibayama Mitsuhiro

令和2年6月1日
一般財団法人総合科学研究機構
中性子科学センター長 柴山 充弘