J-PARC MLFに集う若き研究者

2019.01.19

J-PARC MLFに集う若き研究者

積極的に挙手する参加者

2018年11月20日(火)〜24日(土)にJ-PARCで「The 3rd Neutron and Muon School(第3回中性子・ミュオンスクール)」が開催され、国内外の大学院生、ポスドクら35人の参加がありました。参加者らは中性子、ミュオンの英語での講義を2日半受けた後、物質・生命科学実験施設(MLF)の10のビームライングループに分かれて1日半の実習に臨み、協力して実験試料の作製や測定、測定したデータの解析に取り組みました。最終日には実習の成果を各グループ10分間で発表し、質疑応答に応じました。

2日目のニュートリノモニター棟見学の様子

本スクールは、中性子・ミュオンユーザーの裾野を広げるための若手育成の目的の元に、毎年11月に開催されています。海外に参加者を募っているのも特徴の一つで、今年も中国、インド、タイ、ロシア、イギリスから参加がありました。また、今年度から地元の茨城大学大学院の単位科目となったこともあり、茨城大学の大学院生5人が参加しました。

1日目から3日目には中性子の9講義、ミュオンの4講義が行われました。参加者は真剣に講義に聞き入り、講義後に設けられた10分の質問時間には積極的に挙手していました。1日目、2日目は講義の間にJRR-3、ハドロン実験ホール、ニュートリノモニター棟、中央制御棟を見学し、研究用原子炉の中性子実験装置、及びJ-PARCにあるMLF以外の実験施設での研究内容に触れました。

参加者がS1 ARTEMISに試料を取り付けている様子

3日目の午後からは、参加者は中性子ビームライン9本(BL01 四季、BL02 DNA、BL03 iBIX、BL11 PLANET、BL15 大観、BL17 写楽、BL19 匠、BL20 iMATERIA、BL22 螺鈿)、ミュオンビームライン1本(S1 ARTEMIS)の10のビームライングループに分かれて実習に臨みました。実習を担当するのは、MLFに実験に訪れるユーザーの対応をしている各ビームラインのエキスパート達です。参加者らは実際に試料を作製してセルに封入、セルを冷凍機などの装置に設置して測定、測定されたデータを解析して実験結果を考察しました。

別グループの発表に質問を投げかける参加者

4日目は翌日に控えた実習の成果発表に向け、発表する内容、構成、担当などを相談して決め、発表スライドを協力して作成しました。いくつかのグループは夜遅くまでスライド作成や発表の練習を頑張っていました。

5日目。参加者とスクールスタッフ、ビームライン担当者などの投票により、プレゼンテーション賞を3位まで決定することもあり、参加者らは緊張した面持ちで成果発表会に臨みました。発表後の質疑応答で聴衆からの鋭い質問にも誠意を持って答えている姿が印象的でした。午後には本スクール校長の杉山純氏(日本中間子科学会会長、豊田中央研究所)によるサイエンスセミナーの後、プレゼンテーション賞の表彰式、修了証授与式を行い、5日間に渡る第3回中性子・ミュオンスクールは閉校しました。

プレゼンテーション賞を受賞したBL22チーム(右の3人)とSchool chairmanの大石一城氏(左)

本スクールは、日本中性子科学会、日本中間子科学会、J-PARCセンター、JAEA原子力人材育成センター、JAEA物質科学研究センター、KEK物質構造科学研究所、東京大学物性研究所中性子科学研究施設、総合科学研究機構(CROSS)中性子科学センター、茨城大学大学院理工学研究科、中性子産業利用推進協議会、茨城県企画部の共催の元、Inter-institution network for accelerators science(IINAS)及びInternational Society for µSR Spectroscopy (ISMS)の支援を受けて開催されました。