梶本亮一副主任研究員が平成24年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)を受賞

2012.04.18

梶本亮一副主任研究員が 平成24年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)を受賞

2012年4月18日

平成24年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者が発表され、梶本亮一副主任研究員が日本原子力研究開発機構J-PARCセンターの新井正敏ディビジョン長、中村充孝研究副主幹との共同成果で科学技術賞(研究部門)を受賞いたしました。

受賞タイトルは「パルス中性子による高効率ナノダイナミクス計測技術の研究」で、中性子を用いた原子やスピンのダイナミクス計測の効率を飛躍的に向上させたことにより、物質の機能発現機構解明の進展が期待されることが高く評価され今回の受賞となりました。


授賞式後の文部科学省3F講堂にて。
左から、中村充孝研究副主幹(J-PARC)、新井正敏ディビ
ジョン長(J-PARC)、梶本亮一副主任研究員(CROSS東海)。
(写真提供:伊藤 浩 氏/J-PARCセンター広報セクション)

この賞は、我が国の科学技術分野において科学技術に関する研究開発、理解増進等で顕著な成果を収めた者に対し贈られる賞で、その功績を讃えることにより科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的としています。

今回受賞対象となった研究は、原子やスピンの微小な運動(ダイナミクス)を計測する上で極めて有用な「中性子非弾性散乱実験」が、従来の方法では観測できる信号強度が微弱であるという計測上の困難を解決した画期的なものです。

今回受賞した研究チームはこの課題を解決するために、

(1) 結合型減速材の利用と中性子輸送系の最適化による中性子ビームの高強度化
(2) 長尺位置敏感型検出器の採用による計測の高効率化
(3) 複数の異なる入射エネルギーを同時に利用するための特殊中性子ロータと中性子事象判別計測データ収集系の技術開発
を行いJ-PARCのチョッパー型分光器「四季」(ビームライン01)にこれらの技術を実装しました。これにより「四季」の計測効率が飛躍的に向上し(図1)、ダイナミクスの全体像と詳細を一挙に計測することが可能となりました。(図2)


図1. 従来の手法との不感時間(検出器に中性子が到達しない時間)の比較図。
複数の入射エネルギーを同時に利用する新しい実験手法では
不感時間を劇的に減少させ計測効率を上げることができる。


図2. 「四季」で測定された非弾性中性子散乱データ。4種類の二次元画像が1回の測定で得られた。

また、これらの技術は海外の中性子施設においても採用が計画されるなど、国内外の中性子施設、中性子利用研究に大きな影響を与えました。それにより、物質の機能発現機構解明に関する研究が大きく進展することが期待されます。

なお、授賞式は2012年4月17日(火)に文部科学省3階 講堂にて行われました。

関連ページ
平成24年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者の決定について(文部科学省)