第1回 CROSS-JASRI研究会 「中性子・放射光を利用した太陽電池解析の可能性」開催

2012.02.03

第1回 CROSS-JASRI研究会
「中性子・放射光を利用した太陽電池解析の可能性」開催

約30名の参加があった会場の様子

2012年1月16日(月)、研究社英語センタービル(東京)で、J-PARCの登録機関である(財)総合科学研究機構(CROSS)とSPring-8の登録機関である(財)高輝度光科学研究センター(JASRI)が共同主催の標記の研究会を開催し、約30名の参加がありました。

今回は第1回として、最近注目を集めている再生可能エネルギーの一つである太陽電池にスポットを当て、施設側からはJ-PARCの中性子線やSPring-8の放射光を太陽電池の研究開発にどのように活用できるか、一方太陽電池の開発者側からは太陽電池の普及や性能向上などのニーズについて意見交換が行われました。

大下祥雄教授

最初に、藤井保彦 (CROSS 東海事業センター長)からJ-PARCと登録機関であるCROSSの紹介を行った後、ニーズ紹介として大下祥雄教授 (豊田工業大学)から太陽電池の開発は特に中国、韓国の追い上げがめざましいこと、太陽電池を普及させるためにはコストダウンが必要であるがそのためには太陽電池に使用されているシリコンのコストを下げる必要があること、また電気への変換効率を上げることで施工賃を下げられるなどの紹介がありました。

次に中村京太郎氏(シャープ(株)ソーラーシステム開発本部副参事)からは太陽電池に関する現在の課題として、コスト高、低効率、電池の材料が有限であることなど、太陽電池の研究開発にかかわる現場から貴重な意見を聞くことができました。

中村京太郎氏

終了後も意見交換を行うCROSS職員と参加者

施設側からは吉田登研究員(CROSS東海)がJ-PARCを用いた反射率測定の特徴や界面の計測、ラフネスの測定などについて、また廣沢一郎主席研究員(JASRI産業利用推進室)からは最近SPring-8を用いた有機薄膜実験が増えていることや、X線と中性子線の相補的利用の可能性について説明が行われました。また出席者からも多数の質問があり、時間を超過するほど活発な意見交換が行われました。

CROSS東海ではJASRIと共催して、このような産業界に密着したテーマで今後も研究会シリーズを開催してゆく予定です。

プログラム

13:00 – 13:10 開会挨拶 藤井保彦 (CROSS東海)
CROSSの紹介 福嶋喜章 (CROSS東海)
13:10 – 13:50 「多層膜系太陽電池開発の現状と課題」 大下祥雄 (豊田工業大学)
13:50 – 14:30 「太陽電池の開発・普及の現状と課題」 中村京太郎
(シャープ株式会社)
14:30 – 14:45 休憩  
14:45 – 15:15 「中性子を利用した薄膜・界面の解析とJ-PARCの現状」 吉田登 (CROSS東海)
15:15 – 15:45 「放射光による太陽電池等薄膜材料評価と中性子への期待」 廣沢一郎 (JASRI)
15:45 – 16:00 意見交換  
16:00 – 16:10 閉会挨拶 大野英雄 (JASRI)

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