中性子を利用した物質科学研究を促進
―金属材料研究所とCROSSが連携協力に関する協定書を締結―

2019.04.04

中性子を利用した物質科学研究を促進
―金属材料研究所とCROSSが連携協力に関する協定書を締結―

国立大学法人東北大学金属材料研究所
一般財団法人総合科学研究機構

概要

国立大学法人東北大学金属材料研究所(以下、「金属材料研究所」)と一般財団法人総合科学研究機構(以下、「CROSS」)は、平成31年4月4日付で「国立大学法人東北大学金属材料研究所と一般財団法人総合科学研究機構中性子科学センターとの物質科学の研究推進に関わる連携協力協定」を締結しました。

大学研究機関と特定中性子線施設登録機関の連携協力協定の締結は今回が初となります。材料科学分野の共同利用・共同研究拠点である金属材料研究所と中性子研究施設の共用促進を行うCROSSが、本協定の下、相互の特徴と研究資源を活かした研究、人材交流及び中性子利用者の拡大に関する一層の連携協力を図ることで、我が国における物質科学の研究推進に貢献いたします。

今後期待できる成果

両機関において、中性子を利用した物質科学の研究推進と人材育成は共通の重要な課題です。本協定による相互の研究開発能力及び人材並びに共同利用システム等を活かした緊密な連携に基づき、広範な物質科学分野の新しい研究や技術の創成、中性子物質科学分野等で活躍できる優秀な人材の育成が期待できます。

*中性子を利用した物質科学の研究とは
物質に中性子を照射すると、原子・分子・スピンの詳細な構造を正確に測定できる。ミクロな構造の理解が重要な物質・材料科学分野において、中性子は重要な測定手法として活用されている。中性子を利用できる大型研究施設は世界でも限られており、現在、国内では茨城県東海村にある大強度陽子加速器施設 J-PARCのみである。

協定締結の背景

金属材料研究所とCROSSはこれまでに原子炉中性子源や大強度パルス中性子源を利用した個別の研究開発や物質科学等で研究協力を進めてきました。

金属材料研究所は、日本原子力研究開発機構の研究用原子炉施設 JRR-3及び大強度陽子加速器施設 J-PARCに中性子実験装置群を設置しています。平成31年度からはJ-PARCの中性子実験装置を本格稼働させ、中性子利用に関する共同利用・共同研究を開始し、物質・材料科学研究と人材育成に取り組みます。

CROSSは、J-PARC特定中性子線施設登録施設利用促進機関(特定中性子線施設登録機関)として文部科学大臣より選定され、平成23年度より共用装置(中性子実験装置)群の利用者の選定及び学術利用・産業利用促進、人材育成に取り組んでいます。

この度、かかる背景を踏まえ、両機関は研究協力の更なる発展と人材交流の一層の促進を図るとともに、原子炉中性子源や大強度パルス中性子源を利用する広範な物質科学研究に取り組むため、連携協力協定を締結することになりました。

協定書の概要

締結日:平成31年4月4日 施行日: 平成31年4月4日
締結者:国立大学法人東北大学金属材料研究所長 高梨 弘毅
一般財団法人総合科学研究機構中性子科学センター長 横溝 英明

1)目的

両機関の研究施設・設備、研究成果、人材等を活用し、連携協力することにより、相互の研究開発及び人材育成の充実を図る。

2)連携協力分野

原子炉中性子源や大強度パルス中性子源を利用した広範な物質・材料科学

3)連携協力の実施

①共同研究等の研究協力
②人材交流
③教育、人材育成
④研究施設・設備の相互運用
⑤その他本協定の目的を達成するために、両機関が必要と合意した協力

4)連携協議会の設置

両機関の役職員等の委員により構成する連携協議会を、必要に応じて(年1回程度)開催し、連携協力の推進に係る重要事項及び具体的案件の審議及び検討を行う。

5)有効期間

締結日から令和2年3月31日までとし、その後は1年毎に自動的に更新される。

以上