中性子線専用施設の設置計画の選定に関する基本的考え方

中性子線専用施設の設置計画の選定に関する基本的考え方

2011年3月30日
改正 2011年7月13日
2016年8月25日

登録施設利用促進機関
一般財団法人 総合科学研究機構

特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律(平成6年法律第78号)第4条第1項の規定に基づく「特定中性子線施設の共用の促進に関する基本的な方針(平成23年2月7日)」に基づき、一般財団法人総合科学研究機構(以下、「研究機構」という。)は、登録施設利用促進機関(以下、「登録機関」という。)として、以下の方針により中性子線専用施設(以下、「専用施設」という。)の設置計画の選定等を実施する。

特定中性子線施設は世界最高クラスのパルス中性子線施設であり、汎用性の高い先端施設であることから、中性子線専用施設の募集及び選定を、国内外のあらゆる利用者、全ての研究分野に対して、透明な手続きにより公平な提案機会が提供されるよう配慮する。同時に、施設の能力を最大限活用し成果を上げていくよう配慮する。また、国民の特定中性子線施設の整備及び運営に対する理解、支持及び信頼を得ることができるよう努める。

なお、大強度陽子加速器施設(以下「J-PARC」という。)が国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以下「JAEA」という。)及び大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(以下「KEK」という。)により共同で運営されていることに鑑み、研究機構はJAEA及びKEKと密接な連携、協力をしていくよう努める。さらに、特定中性子線施設が立地する地域における科学技術活動を活性化し、新産業・新事業の創出を促進する観点から、地域における産学官連携の深化をはじめとして外国人研究者の受け入れ環境の整備等を進めるために、地元自治体等との連携に努める。

1. 専用施設の募集及び選定の手続き

  1. 専用施設の設置提案は公募する。公募にあたっては、インターネット媒体等の活用やJ-PARCセンターのWeb等にリンクして掲載、その他適切な手段を積極的に活用することにより広く国内外に公表する。また、必要に応じて、設置提案希望者に対し、技術的な情報の提供あるいはその他の相談への対応をインターネット等の適切な手段を用いて行う。
  2. 提案は随時受け付けることとし、専用施設審査委員会において次の2段階の審査を実施する。なお、専用施設の審査を行う際には、自らが参画する専用施設提案の審査から排除されるなど、公平な専用施設選定に努めることとする。
    第1段階では、設置提案希望者から実験装置提案書を提出させ、計画の科学的及び技術的内容、ビームラインを専用とする必要性等について審査する。
    第2段階では、提案者から実験装置設置詳細計画書を提出させ、獲得予定の予算の執行計画、建設計画、安全性評価、維持管理計画、利用計画等について審査する。ただし、この段階で提案者と登録機関との協議により計画を修正することができる。また、設置可能な装置の数が限られていること、物質・生命科学実験施設全体に関わる問題が生じる可能性があることから、これらの審査においては、国およびJ-PARCセンターの意見を十分配慮する。
  3. 選定委員会は、専用施設審査委員会から(2)の第1段階及び第2段階の審査結果の報告を受けて審議し、専用施設の選定案を作成し、中性子科学センター長に報告する。中性子科学センター長は、その報告をもとに専用施設を選定し、登録機関としてこれを外部に公表する。なお、公表する情報の管理については、別に定める「特定中性子線施設の利用促進業務における情報管理に関する基本的考え方」に基づき適正に行う。

2. 専用施設設置計画選定の審査基準

専用施設設置計画の審査は専用施設審査委員会で行い、広範な分野からの提案を次の基準に沿って総合的・専門的に検討評価する。なお、審査に当たっては、科学技術基本計画等の国の方針等を踏まえ、国際協調と国際競争のバランスに配慮しつつ、施設利用研究の科学技術への貢献度や発展性、社会経済への寄与や社会通念に照らした妥当性等に配慮する。

第1段階の実験装置提案書による審査では、次の基準の(1)、(2)、(4)及び(7)を重点的に検討する。第2段階の実験装置設置詳細計画書による審査では、次の基準の(3)、(5)、(6)及び(8)を重点的に検討する。

なお、国外から提案される計画については、科学的及び技術的な内容に加え、政府間の科学技術協力協定等の枠組みを踏まえた上で計画内容を検討する。

  1. 科学的意義
  2. 社会的意義
  3. 技術的妥当性
  4. 大強度パルス中性子源の必要性
  5. 提案グループ全体の装置建設および研究遂行能力
  6. 希望するビームポートの妥当性
  7. 専用とする必要性
  8. 実験内容の安全性

3. 専用施設への支援

登録機関は、専用施設の設置、利用等に関し、専用施設設置者との間で締結する取り決めに基づき支援等を行うものとする。

4. 利用状況の評価及び専用施設の更新・撤去

  1. 利用研究課題の先端性、実験技術としての専用施設の高機能性等を確保することが重要である。ビームラインは設置可能な数が限定されていることから、専用施設の利用計画に一定の期限を設ける。建設後の専用施設については、選定時における2項の基準を満たし、科学技術基本計画等を踏まえて、適切な運用が行われているか等の利用状況を、専用施設審査委員会が定期的に評価し、選定委員会の審議を経て、必要に応じて登録機関が専用施設の改善、更新、撤去等を勧告することができる。なお、評価・勧告に当っては、国及びJ-PARCセンターとの連携を図り、意見を十分配慮する。
  2. 登録機関は別に定める取り決めに従って、設置者から専用施設の現状及び利用状況についての報告を求めることができる。