CROSS中性子科学センターとは?

CROSS中性子科学センターとは?

一般財団法人総合科学研究機構(CROSS)は茨城県土浦市に本部を置き、茨城県南地域を中心に活動を展開してきました。2001年度から建設を開始した大強度陽子加速器施設(J-PARC)は、東海村に本部を置く日本原子力研究開発機構(JAEA)と、つくば市に本拠を持つ高エネルギー加速器研究機構(KEK)の一大共同事業として、また省庁統合のシンボル的なプロジェクトとして強力に推進され、8年の歳月を掛けて2008年、東海村に完成しました。CROSSはこれを契機に、東海村での新たな事業展開を目指して、2010年4月に東海事業センター(2016年度に中性子科学センターに改名)を開設しました。センターの設置場所は、茨城県が旧NTT跡地を整備したいばらき量子ビーム研究センター内です(通称「IQBRC」;東海村白方162-1)。

中性子科学センターはそれから約1年間、中性子をはじめとする量子ビーム利用に関する企画調査を行うとともに、2009年7月に特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律(略称「共用法」)が適用されたJ-PARC特定中性子線施設に係る登録施設利用促進機関(略称「登録機関」)申請の準備を、CROSS本部と一体となって行いました。2011年2月7日に文部科学省から告示された「共用法のうち特定中性子線施設に係る利用促進業務実施機関の選定について」、および「共用法の施行規則改正」(文部科学省令第三号)、文部科学大臣の「基本方針改正」(文部科学省告示第十号)に則ってCROSSとして申請を行い、同年2月21日に登録通知を受け、3月22日に登録機関に選定されました。そして登録機関としての利用促進業務を実施する場所として当中性子科学センターが指定され、同年4月1日より業務を開始しました。

中性子科学センターは、CROSSの一組織として「東海事業センター運営規程」に基づき運営していますが、特に共用法の登録機関としての活動は、「東海事業センター業務規程」に規定されています。この業務規程では、文部科学大臣の定める「特定中性子線施設の共用の促進に関する基本的な方針」 1) (略称「基本方針」)に即して次の業務を実施します。

  1. 選定委員会の設置と運営
  2. 中性子線共用施設(共用BL)の課題公募と選定
  3. 中性子線専用施設(専用BL)の募集と選定
  4. 研究実施相談者の配置(ユーザーの実験支援)
  5. 施設利用者に対する情報提供・相談・援助等
  6. 利用者・施設関係者の安全確保
  7. 業務に関する情報管理と秘密保持
  8. JAEA・KEK(J-PARCセンター)との連携
  9. 関連量子ビーム施設との連携、地方自治体との連携

そして年度毎に変わる施設の状況を反映した「特定中性子線施設利用促進業務の実施計画」(通称「実施計画」)を毎年度初頭に文部科学大臣に提出して承認を受けるとともに、年度末にはその報告書を提出することになっています。
一方、「基本方針」は国内外の状況を反映して節目で改正されますが、設置者・登録機関ならびに関係機関に対して公示され、2011年2月7日に改正された最新のものでは、共用促進による成果の創出と国民の支持・信頼を得るとともに、これを実現するためにJAEA・KEK・登録機関三者の連携強化が前文に謳われています。そして、次の各項目が具体的に指示されています。

  1. 基本的方向:
    国際的頭脳循環による中核的拠点形成(利用者本位の整備・運営、利用研究高度化、人材育成、成果の普及啓発、国際競争力の強化)
  2. 施設利用研究:
    透明公正な利用者選定、選定委員会の意見聴取、適切な利用者支援、最先端利用研究推進・情報発信、知的財産保護・知的公共財、シンポジウム・インターネットによる国民の理解を得る啓発活動、国際的シンポジウムの積極的開催と存在感発揮、登録機関の研究機能強化
  3. 共用BL整備と専用BL設置:
    設置者は利用者ニーズ・国内外の動向を反映した計画的な共用BL整備、登録機関は公正な選定基準に従い、国・設置者と密接な連携の下での専用BLの選定・評価
  4. 共用BL運営と専用BL利用:
    利用者本位の利用促進(窓口一元化と簡素化、利用者開拓とニーズ把握、新規利用法の提供)、設置者は複合施設の特定中性子線施設を一体的かつ効率的に運転・維持管理、施設全体の安全管理確保、充分な利用時間提供
  5. その他:
    設置者JAEA・KEK・登録機関の連携、地方自治体との連携協力(地域の科学技術活動活性化・産学官連携深化)、他の量子ビーム関連施設との適切な役割分担と連携

これらの基本方針に沿って、JAEA・KEKとの密接な連携の下に業務を実施するとともに、国内外の関連研究機関やコミュニティとの研究協力・人事交流を図る活動を展開します。